ロングテール時代の「基本的なミス」

世界恐慌という言葉が、少し遠く感じる市場がいくつかある。そのひとつがEC、オンラインショッピングだ。先行きの不透明感からマンションや車などの大型消費が落ち込む一方で、不況に強いと言われる小売業、なかでもWeb上の店舗で自宅から出ることなく買い物ができるオンラインストアの利用者が増え続けている。オンラインストアでの購入経験者は82.4%に上り、消費意欲も「非常に増えた」「まあ増えた」という肯定的回答の合計が52.4%と半数を超えているのに対して、実店舗においては10.6%と下降傾向を辿っている。(数字は「インターネット白書2009」より)

購入者の立場から見ると、オンラインショッピングの魅力として「店舗に行く必要がない」「安い」といった実質的な意見が多いが、販売者の立場から見たらどうだろうか。オンラインストアと実店舗との違いはいくつも挙げられるが、よく言われるのが「ロングテール」という特長だ。オンラインストアの世界最大手「amazon.com」がよく引き合いに出されるが、「冪乗(べきじょう)則」「パレートの法則」などで説明されたりする。つまり、あまり売れない商品の売り上げ合計が、売れ筋の商品の売り上げを超えて全体の大部分を占めている、という現象だ。限られたスペースに商品を陳列しなければならない実店舗のデメリットがないオンラインストアのビジネスモデルをグラフにすると、「あまり売れない」商品群が長い恐竜の尻尾のように伸びる。これを米「Wired」誌編集長のクリス・アンダーソン氏が「Long-tail」と呼んだことに始まっている。

このロングテール現象をSEO/SEMに当てはめて考えられたのが、ロングテールSEOと呼ばれるものだ。例えば「マンション」といったビッグキーワード(売れ筋商品)に費用と労力をかけてSEOを行うよりも、「新築 マンション 品川区」などと検索回数や競合サイトの少ないフレーズキーワード(売れない商品)でSEOやリスティングを行った方が、コンバージョン単価を抑えて効果を得られやすい、という理論だ。この理論が提唱されたのはもう随分昔のことだが、最近の調査結果で面白い結果が出ている。米調査会社Hitwiseによる調査で、1000万のネットユーザーを対象に「検索で使用する単語数」を調べたところ、「1語」と答えたのが20.88%で前年比2%減。「2語」は22.02%(同9%減)、そして「3語」が21.64%(同1%増)と、フレーズキーワードを用いる傾向が強まっているのがわかる。売れない商品が売れてきた、ということだろうか。

ビッグキーワードへの対策をする、しないは戦略次第だが、ロングテールキーワードを無視することが賢明ではないことは明らかになってきている。それを裏付けるデータも出てきている。ロングテールキーワードでサイトに流入してきたユーザーのコンバージョン率は、ビッグキーワードよりもはるかに高いのだ。低い投資で高い効果。これをみすみす見逃すのはもはや「基本的なミス」になりつつあると言える。

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このページは、インフォキュービックが2009年8月 7日 17:42に書いたブログ記事です。

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