中国が遂に米国に次ぐ「世界第2位の経済大国」になることが確実視されている。2009年第2四半期(4~6月)の国内総生産(GDP)が7.9%となり、マイナス成長を見込む日本を抜く可能性が高くなったのだ。中国にとってはGDPの成長目標(8.0%)の達成はもちろんだが、それ以上に「日本を抜く」ということに象徴的な意味がありそうだ。
そんな中国が、「世界第1位」になった数字がある。2009年6月に発表されたCNNIC(中国ネットワークインフォメーションセンター)の報告でインターネット人口が3億3,800万人に達し、米国の総人口を超えてしまったのだ。昨年末の統計(2.98億人)から半年間で13.4%、約4,000万人増と、成長率でも類を見ないスピードだ。
しかし、中国のネット環境の整備はまだ遅れている。ブロードバンド利用率も94.3%に及んでいるが、「ブロードバンド」の概念が違う。経済協力開発機構(OECD)の統計ではOECD加盟国のインターネット平均下り接続速度は17.5M/bpsとなっているが、中国ではまだ最大1~2M/bpsが主流となっている。これは、音楽データのダウンロードや動画閲覧、ゲームなどが首位を占める娯楽目的のネットユーザーにとっても改善を求めるところだろう。
EC、オンラインショッピングに関してはどうだろうか。eMarketerの予測では、2008年の64億ドル規模から2011年には241億ドル規模に成長するとしている。4倍もの成長率だ。市場規模では日本やアメリカに及ばないものの、今後の発展が注目される市場としてマーケッターの興味は強い。我々の戦略の上でも目を離すことができない。
13.4億人の人口に支えられた内需主導政策で世界第2位の経済大国に昇りつめた中国は、この先アジア、世界に向けてどのように変革していくだろうか。
プレスリリースでも公開させていただいたが、大きくふたつの事業が同時に立ちあがった。ひとつは全国300万社の会員を抱える企業仲人連盟との協業による、企業向けWebマーケティング支援。もうひとつが、個人事業主から大企業まで、海外でのEC(オンラインショッピング)のサイト構築からマーケティングまでをサポートするサービスだ。前者の仲人連盟との協業においても、企業の海外進出を支援するところでは後者にも通じている。
近年、海外市場への販路拡大などを進める企業の動機には、二面性がある。海外市場に活路を見出したいという積極性と、日本市場への先行き不透明感に対する不安という消極性。そのどちらも同時に感じて海外進出を乗り出す企業が増えている。少子高齢化、人口減なども「先行き不安」の要因のひとつだ。実際、厚生労働省の発表によれば、出生数から死亡数を引いた「自然減」は2007年、2008年と連続して続いている。その自然減の数も2008年では5万1000人と過去最大を記録し、日本は確実に「人口減社会」に突入していると見られている。自然減が2年連続したのも初めてのことだ。
インターネット人口が増えているとは言え、人口総数が減少すれば市場も縮小するだろう。内閣府の調べでは暮らし向きや購買意識などへの消費者動向はこの四半期で上昇しており、楽天市場などのオンラインショッピング市場が成長しているのも事実だが、それは日本に限ったことではない。米国のeMarketerは2011年までに、日本のEC市場は900億ドルまで成長するが、米国のそれは倍を超える2200億ドルにまで拡大すると予測している。市場は海外にあり、と言っても決して過言ではない。
また、商材によっては国内よりも海外の方が売りやすいものもある。若年層を中心とした日本の和の文化への関心の低下から市場が縮小してしまったものなどだ。北米のeBayをちょっと覗いても、日本の骨董品や家具、着物などが高価に取引されている。ブランドやブームなどに左右されにくい欧米市場では、東洋の希少品などは非常に重宝されているのがわかる。また、化粧品などの生活雑貨からゴルフクラブのような鉄鋼製品まで、その質とデザイン性から中国を中心としたアジアでも高い評価・人気を得ている。
現に、日本では産地などで勝負が難しい神戸の日本茶屋が、わずか4人の家族で始めたオンラインストアで海外市場に乗り入れ、月商100万を超える成功を収めている事例もある。もちろん海外でのショップ運営には国内にはないさまざまなハードルもある。しかし一度それを超えてしまえば、広がる海原に出会えるだろう。弊社は、その海原に漕ぎ出すための支援を用意している。日本文化はまだまだ欧米に認知されていない。弊社の事業がクライアント企業の発展はもちろんだが、日本文化の啓蒙、ひいては日本経済の活性化の一助となれれば幸いだ。
世界恐慌という言葉が、少し遠く感じる市場がいくつかある。そのひとつがEC、オンラインショッピングだ。先行きの不透明感からマンションや車などの大型消費が落ち込む一方で、不況に強いと言われる小売業、なかでもWeb上の店舗で自宅から出ることなく買い物ができるオンラインストアの利用者が増え続けている。オンラインストアでの購入経験者は82.4%に上り、消費意欲も「非常に増えた」「まあ増えた」という肯定的回答の合計が52.4%と半数を超えているのに対して、実店舗においては10.6%と下降傾向を辿っている。(数字は「インターネット白書2009」より)
購入者の立場から見ると、オンラインショッピングの魅力として「店舗に行く必要がない」「安い」といった実質的な意見が多いが、販売者の立場から見たらどうだろうか。オンラインストアと実店舗との違いはいくつも挙げられるが、よく言われるのが「ロングテール」という特長だ。オンラインストアの世界最大手「amazon.com」がよく引き合いに出されるが、「冪乗(べきじょう)則」「パレートの法則」などで説明されたりする。つまり、あまり売れない商品の売り上げ合計が、売れ筋の商品の売り上げを超えて全体の大部分を占めている、という現象だ。限られたスペースに商品を陳列しなければならない実店舗のデメリットがないオンラインストアのビジネスモデルをグラフにすると、「あまり売れない」商品群が長い恐竜の尻尾のように伸びる。これを米「Wired」誌編集長のクリス・アンダーソン氏が「Long-tail」と呼んだことに始まっている。
このロングテール現象をSEO/SEMに当てはめて考えられたのが、ロングテールSEOと呼ばれるものだ。例えば「マンション」といったビッグキーワード(売れ筋商品)に費用と労力をかけてSEOを行うよりも、「新築 マンション 品川区」などと検索回数や競合サイトの少ないフレーズキーワード(売れない商品)でSEOやリスティングを行った方が、コンバージョン単価を抑えて効果を得られやすい、という理論だ。この理論が提唱されたのはもう随分昔のことだが、最近の調査結果で面白い結果が出ている。米調査会社Hitwiseによる調査で、1000万のネットユーザーを対象に「検索で使用する単語数」を調べたところ、「1語」と答えたのが20.88%で前年比2%減。「2語」は22.02%(同9%減)、そして「3語」が21.64%(同1%増)と、フレーズキーワードを用いる傾向が強まっているのがわかる。売れない商品が売れてきた、ということだろうか。
ビッグキーワードへの対策をする、しないは戦略次第だが、ロングテールキーワードを無視することが賢明ではないことは明らかになってきている。それを裏付けるデータも出てきている。ロングテールキーワードでサイトに流入してきたユーザーのコンバージョン率は、ビッグキーワードよりもはるかに高いのだ。低い投資で高い効果。これをみすみす見逃すのはもはや「基本的なミス」になりつつあると言える。