SEOからSEM、というビジネススキームの変換についてしばらく語ってきたが、その間にも弊社の中でいろいろと試行錯誤が進められた。どうすればSEMを理解し、受け入れてもらえるのか。Webサイトを活用したい、という意向があればこそ弊社への問い合わせという動機につながるのは前提だが、いざSEMという蓋を開けてみるとなかなか受け入れてはいただけない。なにか魔法のような呪文を唱えると、にわかにサイトが活気づき、集客が増え、増益につながるという期待があるように感じられるが、実際にはSEMというのは地道な努力の上に成り立っている。

確かに、弊社のサービスでも独自のロジックに基づいたSEO施策によって、それまで圏外だった検索エンジン表示順位が、短期間で首位に登るということも可能になっている。その仕組みを知らない(また、知る必要もない)クライアントにとっては、魔法にでもかかったような心持がしても当然だろう。何故だかわからないが、とにかく選んだキーワードで流入が増え、実際にそれまで超えられなかった収益の壁を一気に超えたという事例も実在する。

しかし、そんな効果が得られた企業でも、いつかはもうひとつの壁に突き当たる。それが、Webサイトのキャパシティとユーザーの質の問題だ。例えるなら、コップ(Webサイト)に水(ユーザー)を注ぎこみ続けていれば、それまで半分にも満たなかったのがいつか上まで満たされる。それがSEOの効果だ。しかし、コップが小さければ、水はいつか溢れ出す。また水資源も無限ではない。注がれる量が一定限度に達すれば、コップには水が溜まるようになり、水は巡回しなければいつか腐ってしまう。

SEMは、コップをバケツに変えていく作業だと言えばわかりやすいだろうか。または複数のコップを用意して滑らかに相互巡回をさせて鮮度を保つ。水道の蛇口を最大限に開き(ロングテールSEO)、ざまざまなコップに分散させ(LPO)、巡回させ(ユーザビリティ)、中心のバケツの中で常に鮮度が保たれる状態を構築する、建築にも似た作業だ。

ジャン・ロレンツォ・ベルニーニが修繕の指揮者を務めたことのあるローマでもっとも有名な建築作品のひとつ、サンタンジェロ城。西暦139年の完成から十数世紀にわたってベルニーニなどが繰り返し改修を施し、霊廟から要塞へ、荘厳かつ緻密な建造物に変貌していく過程は、どこかWebサイトにおけるSEMに似ていると感じるのはおこがましい妄想だろうか。

SEMには様々な要素が絡み合い、多次元的な思考が要求される。評価軸は複雑だが、ひとつの霊廟を要塞にまで変えていくには確固とした目的が必要だ。目的が確立すれば、方法は自ずと生まれてくる。目的に気づかせること、適切な方法を提示すること。そしてそれを繰り返し、歴史がサンタンジェロ城を要塞にしたように、市場の変化に対応してWebサイトを緻密に建築していくこと。それが私たちSEMコンサルタントの仕事なのだろう。
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Googleが発表した収益の動きによると、2009年の第2クオーターは前年同期比で3%増の55.2億ドルとなっており、Google社のCEO、Eric Schmidt氏の言葉を借りれば、「安定している」。エリアによっては増益もあり、北米の景況を鑑みると、Schmidt氏の楽観的な観測も「検索業界のゴリラ」と言われるGoogleならば頷けると言えよう。

しかし、米国の景況に関して楽観視しているのはSchmidt氏だけではない。米国の中小企業経営者向け顧問会社「President's Resource Organization」代表、Ray Silverstein氏が「Entrepreneur」誌で紹介した、起業家組合会員を対象に行った調査結果がある。それによると、過去10年間でも最悪と言われた昨秋以降の経営状況について、42%の起業家が「それほど悪くはなかった」と回答している。「驚くほど良かった」と答えたのは25%に上り、全体の7割近くが昨今の景気悪化に対して意外にも悲観的ではないことがわかった。

その背景には、レイオフといった経費削減があることは想像に難くないが、一方で逆に「投資を増やした」部門もある。それが、インターネット関連費用だ。Webマーケティングへの投資を増やした企業は76%に上り、中でも多いのが「Webサイトのリニューアル」または「SEO対策」への増資だ。不況だからこそ、打たなければならない施策がある、という観念がWebマーケティングに向けられるのは、日本では例が少ないと言えるだろう。

米国に従うのが常に正しいとは言わないが、少なくともSEO/SEMの認識において日本の数年先を行っている先進国の姿勢は無視できない。日本でも先行きが見えない状態が続いているこの時代こそ、欠かすべからぬ投資があるとは言えないだろうか。
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IT業界がにわかに騒がしい。AppleからはiPhone 3G S が登場し、App Storeは5万以上のアプリで10億ダウンロードを記録して1周年を祝った。GoogleはPC用のOS「Chrome OS」を無償配布する計画を発表した。これに対して少なからず脅威を感じているだろうMicrosoftは、「OSのように動作させる」というコンセプトに立った新たなブラウザ「Gazzela」の詳細を明らかにした。クラウドコンピューティングがこれからのスタンダードになると言われる時流に乗ったGoogleとMicrosoftのそれぞれのアプローチが興味深い。

マーケティングに関する話では、米国での広告費全般は縮小傾向にあるが、その中でインターネット広告費だけは拡大している。規模こそ違え、この動きは日本国内でも同様のようだ。不況にも強い小売業などが支える消費者向けEC(電子商取引)においては、未曾有の不況に晒されている米国でもおよそ13兆円規模の2008年から、2011年には20兆円近くに成長すると予測されている(eMarketer調べ)。日本ではおよそ6兆円から8兆円へ、そして成長が期待されている中国では6000億円から2兆円強へと、大きな伸び率が予測されている。インターネットを用いたビジネスには、まだまだ商機があることがうかがえる。

中国の話題で大きいのは、7月1日に日本への個人観光ビザが解放されたことだろう。裕福層や企業幹部などに限られ、自由な行動が制限されていた解放以前から比べると、変革とさえ言える。国土交通省・観光庁では2020年までに年間の訪日外国人が2000万人に、うち中国人が600万人に増加すると予測している(2008年の訪日外国人数は835万人)。一方で、中国における日本の情報は極めて限られているという。2009年に入り、インターネット普及率は初めて国際水準を上回ったが、ネット利用の目的は主に音楽やゲームのダウンロードで、情報収集という目的での利用はまだまだ少ないというのが実態だという。需要がなければ、当然供給も少ない。中国のネットにおける日本の認識は、まだゲイシャ、フジヤマの域を出ていないのが現実なのかもしれない。

国内需要の縮小や少子化を受けて、さまざまな業種が国外の需要へと視野を広げ始めて久しく、今後ますますその傾向は強まっていくだろう。そこで重要なのが、言語などの障壁を乗り越えた適切な情報の提供だ。インターネットを用いた商機の国外拡大は、新しい発想ではないが成功例はまだわずかな大企業に限られている。幸運の女神に後ろ髪はない。チャンスを求める個人から企業まで、障害を乗り越えて海を越えて、ニッポンの活躍を応援したい。
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LPO(Landing Page Optimization=ランディングページ最適化)という概念が日本で流行したのはいつ頃だろうか。筆者がSEMのひとつの手法として提案し始めてから5年ほどになるが、いまではSEO、リスティング広告に次いで認知も高まり、その効果も受け入れられてきている。しかし、その主旨をどこまで理解してもらえているのか、疑問に思うことが少なからずある。

LPOの目的をもう一度、見つめ直してみたい。単純に言えば、ユーザーが最初に訪れるページ(ランディングページ)で適切な情報を提供し、購入や問い合わせなど、サイトのゴールへの到達率(コンバージョンレート)を高めることとなる。ここで注意したいのが、何をして「適切な情報」とするかである。最初に作られたWebサイトは、得てして主観的であることが多い。そこでは主語が「我々」であったり、業界用語をふんだんに用いて語られていたりする。これではユーザーのニーズに応えられない、と気づいて生まれたのがLPOである。つまり、LPOは「客観的」なコンテンツであるべきである。

何をいまさら、と思われる方も多いだろうが、「適切な情報」と「的確な情報」の違いに気づいていない企業もまだまだ多いのである。主観のみで語っても、その情報が「的確」である可能性はある。が、主観で語られた的確な情報が、Webサイトのコンバージョン達成において「適切」であるという理屈は概ね外れていると言える。ユーザーはどんな情報を求めているのか。徹底した客観視が「適切」なコンテンツを生み出す。そしてそのために不可欠なのが「市場の理解」であり、それによって導き出されるのが市場キーワードである。つまりLPOで作られたコンテンツは、市場キーワードで構成されていなければ適切ではない、という結論が成り立つのである。

ここでもまたキーワードの話で締めくくってしまうが、なににおいてもSEMはキーワードで始まり、キーワードで結果を見る。貴社のランディングページは「適切」か「的確」か、今一度「市場」の観点から見つめ直していただきたい。

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